ヒンナヒンナの元ネタからヒンナの本当の意味まで追いかけてみます
「ヒンナ」と「ヒンナヒンナ」の使い方と意味、間違って覚えていませんか。
美味しいではありません
そもそも知らないよ。って方から、気になって調べているかたまで、ヒンナの本当の意味に迫ります。
調べれば調べるほど、言葉は奥が深いなと感じさせられました。
こんな情報を提供します。
- 「ヒンナ」はどこから流行ったか
- 「ヒンナ」の意味
- 「ヒンナ」と「ヒンナヒンナ」に違いはあるか
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もくじ
マンガ「ポプテピピック」で登場する「ヒンナヒンナ」
2014年から連載されたポプテピピックという漫画で、「ヒンナ ヒンナ」と言うシーンがあります。
これでヒンナヒンナという言葉を知ったという方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際は別の漫画「ゴールデンカムイ」を元ネタにしています。
- 「ヒンナヒンナ」の元ネタは漫画のゴールデンカムイ
漫画の元ネタは漫画ですのでお間違えなく。
漫画「ゴールデンカムイ」で有名になった
漫画「ゴールデンカムイ」でアイヌ民族のアシリパという登場人物が「ヒンナヒンナ」という言葉を使うシーンから有名になりました。
- ヒンナはアイヌ語
個人的には、ヒンナという響きがすごくいいと感じます。また、ヒンナヒンナとくり返しいうことでより可愛らしい印象を与えています。ゴールデンカムイは2014年8月21発売の週刊ヤングジャンプから連載を開始したため、ここ数年で一気に有名になっているのでしょう。
そういうわけで、まずはゴールデンカムイでのヒンナ・ヒンナヒンナの意味について見ていきます。
「ヒンナ」の意味を勘違い
- ヒンナは単純な美味しいではない
どうやら「ヒンナ」を美味しいという意味で使っている人が多いようです。ですが、ゴールデンカムイを見る限り、美味しいという意味で使ってはいません。
食事のシーンで美味しいものを食べているときによく使われているために意味を取り違えているのであると考えています。
これから詳しく触れてきますが、美味しいという意味が一番の意味ではなく、美味しいと解釈することもできるが正しいです。
- 「おいしい」をアイヌ語で言うと「ケラアン」(keraan)
- 「本当に美味しい」で「ソンノ(sonno) ケラアン」
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ゴールデンカムイでアイヌ語「ヒンナ」の初登場
- 「ゴールデンカムイ1巻」「第5話 北鎮部隊」で、不死身の杉本とアシリパが罠で捕まえたリスを食べるシーンで初めて使われた
アシリパはリスを食べながら「ヒンナヒンナ」と言います。
アシリパ「ヒンナヒンナ」
杉本「なんだい?それ」
アシリパ「食事に感謝する言葉」
アシリパ「私たちは食べながら言うんだ」
というわけで、「ヒンナ」は「食事に感謝する言葉」です。「ヒンナ」と一回言ったり、「ヒンナヒンナ」と連続で言ったり、シーンによって使われ方は様々です。
- ヒンナとヒンナヒンナは、食事に感謝する言葉
ゴールデンカムイにおけるヒンナとヒンナヒンナは食事に感謝する言葉です。
ヒンナ = (食事に)感謝
ヒンナヒンナ = (食事に)感謝感謝
「ゴールデンカムイ」の「ヒンナ」を現代語で表すと
個人的な感覚で表すと、食べ物に感謝するような感覚なので「いただきます」や「ごちそうさま」に近いように思います。
実際にネットで調べてみると「いただきます」の意味であるとしているところが多いです。
また「ヒンナ」ではなく「ヒンナー」「フンナ」「フンナー」などとしても言われるようです。
簡単にヒンナとヒンナヒンナについて触れてきましたが、これから、より詳しく「ヒンナ」や「ヒンナヒンナ」を調べていきます。
ヒンナ = 感謝
これは単純化されたもので
様々な意味や背景があります
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簡単にアイヌを紹介
状況がイメージできるとより深く言葉の意味が理解できると思いますので、アイヌについて少しだけ触れておきます。
アイヌとは、17世紀から19世紀頃、主に北海道に居住していた少数民族で、北海道に2万人程度、道外に数千人程度いたそうです。狩猟を中心として生活をしていました。主食になっていたのは鮭、鱒(ます)、鹿で、春は鱒、秋は鮭が大量に獲れました。
北海道をイメージしてもらえれば分かると思いますが、大自然とともに生き、冬の寒さ厳しさが想像を絶するもののように思います。その自然に対しての想いから生まれてきた言葉、そのようにイメージするとアイヌ語の深さがすこしだけ分かるような気がします。
- アイヌ民族には文字がない
文字がないということは情報の伝達・共有・蓄積の面で必ず人を介す必要があるということです。人と人が出会う場面の重みが非常に高いことが想像できます。
「ヒンナ」の意味と使い方をさらに掘り下げる
アイヌ民族には文字がないということで、情報をより個人に依存して伝えられていたと考えられます。つまり、アイヌ語と一言で言っても地域によってローカライズされている可能性が高く、どこでもヒンナの意味や使い方は同じであるとは断定できないのではないかと思います。
その中で、よく説明されている部分をもとに情報を整理すると、次のようなことが見えてきます。
- 女性が使う
- 「ありがとう」を気軽に伝える
- 「いただきます」「ごちそうさま」などの食べ物への感謝
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女性が使う
ヒンナは女性が、イヤイライケレは男性が使う例があるため、ヒンナは主に女性が使う言葉であると考えています。途中でヒンナは中流以上というような説明もあったので、アシリパさんが中流以上であるという推測ができるように言葉を選んでいたかもしれないですね。
イヤイライケレ(男性)/ヒンナ(女性)。エエンコレプケラアン。
iyayraykere / hinna een=kore p keraan.
ありがと。君がくれたやつ、おいしいよ。
男性と女性で使い分けをしている例です。
iyayraykere
イヤイライケレ 【間投】[i-yayirayke-re 人・感謝する・させる][iyayiraykere の y の後の i が落ちた形]ありがとう、 ごちそうさま。 ☆参考 ていねいな謝辞。 k=éyayrayke na ケヤイライケ ナ《私はそのことを感謝しますよ》、 c=éyayrayke na チェヤイライケ ナ《私たちはそのことを感謝しますよ》とも言う。 ちょっとしたことに対する軽い謝辞としては hí-oy-oy ヒオーイオイ が多く使われる。 食べものや贈り物をもらったときなどには女性は raymik ライミク(鼻の下を右手の人差指で左から右へスーッとなでる)しながら hnna フンナ(下流)または hinna ヒンナ(中流以上)と言う。 男はこれをせず両手で onkami オンカミ する。 {E: thank you.} (出典:田村、方言:沙流)
女性で中流以上が使うような記述があります。ありがとうとか感謝の意味合いで使っているようです。
ここで2つの視点があります。
- 食べ物や贈り物をもらったときにの感謝の動作と言葉が、男性と女性で異なる。
- 階級によって言葉が異なる。
ヒンナヒンナとアシリパさんが使うシーンからすごく可愛い印象がありましたが、女性が使う言葉かもしれないと考えるとすごくしっくりきます。
ヒンナとフンナも同じ意味ですが、階級が違うということが分かります。
「ありがとう」を気軽に!
ヒンナは、必ずしも食べ物とセットで使う言葉ではないようです。ありがとうの意味で使うときは、気軽に「ありがと!」くらいの感じでしょうか。
すごく丁寧に、非常な重要な感謝に対して使う言葉は「イヤイライケレ」です。ヒンナとイヤイライケレで、状況によって使い分けます。
ありがとうは「イヤィラィケレ」という言葉で現されます。前回で取り上げた「イランカラプテ」(こんにちは)と同様に、しょっちゅう使ってはいけない言葉。感謝を現すどんな状況でも同じようにこの言葉を使うのではなく、「イヤィラィケレ」は丁重な言葉であり、めったなことでは用いない言葉なのです。単語から導かれる意味は「私自身死ぬほどに」という凄まじいものです。
人間は、物を頂いたり食事を頂いたりした場合に喜びの声を発します。その喜びの声がアイヌ語では「ヒンナ−」、あるいは「フンナー」であり「ヒョーイオイ」です。例えば美味しいケーキをもらったとしたら、「うわーっ!ケーキだ」と声を出してしまう。この「うわーっ!」が「ヒンナ−」や「フンナー」であり、結果としてありがとうを意味しているのです。
ヒンナはありがとうということのようですが、テンション上がって「うわー!」となってるような喜びや驚きが感じられます。イヤィラィケレと同様に感謝を表現しますが、ヒンナは丁寧な言葉ではなく、日常生活の中でちょっとした感謝を表現するようです。
「いただきます」のような食べ物への感謝を表す
ヒンナという言葉の説明・例で多かったのは、美味しいものを食べる前、食べながら、食べ終わった後など食事に感謝するときに使うケースです。
③ヒンナ…美味しい
美味しいものを食べながら、口にする言葉。「美味しい」「旨い」という感想よりも、自然や食材に感謝する意味を持つ。
一言では「美味しい」となっていますが、説明を見ると「自然や食材に感謝」という事が分かります。
美味しいものを食べながら「ヒンナ ヒンナ」と言う。ゴールデンカムイでアシリパさんがよく使ってます。
ヒンナ。 ケラアン フミ。
hinna. keraan humi.
いただきます おいしい 感じ
「いただきます」の意味で使っています。
ヒンナ.
hinna.
ごちそうさまでした。
「ごちそうさま」の意味で使っています。
ヒンナヒンナの意味は
「ヒンナ」を繰り返して言うときに「ヒンナヒンナ」となります。
- 「ヒンナ」と「ヒンナヒンナ」で意味に違いはないが、実は言葉の重みが違うのではないか
一般的に「ヒンナヒンナ」と連続して同じことを言うと言葉の重みは軽いと感じます。「分かりました。分かりました。」って言われたら絶対分かっていないだろって思いますよね。
繰り返すのであれば、少し別の言葉を挟んだり、間を空けたりして大事な言葉の間になにかを挟むと重みが感じられます。
しかし、アイヌ民族は文字を持っていなかったため、言葉に対する考え方が私達とは根本的に異なります。特に伝えるということにおいて、絶対的に違いがあります。言葉は文字のように残すことができないため、「今」が非常に重要であると考えられていたのではないでしょうか。そういう意味で、繰り返すことは必ず伝えるために大事なこと、というように解釈できるかもしれませんね。
「ヒンナ」という発音、響きがかわいいのでちょっと流行らないかなと考えていますがなかなか難しいですかね。
みなさんも、食事に感謝しましょう!
ヒンナヒンナ
気軽にありがとうを言いましょう!
ヒンナ!